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(38)3団体共通役員制

1989(平成1)年5月、県漁連・信漁連・共済組合の3団体による、初めての合同通常総会が開催された。総会に先立って、3団体はあらかじめ各地区で合同説明会を開催していたため、全議案はスムーズに進行し原案どおり可決・承認された(拓水392号)。

1999(平成11)年3月発行の拓水509号に、県水産課長が「漁協系統の組織強化について」を寄稿した。兵庫県の漁協系統では、県漁連や信漁連が中心となって、漁協合併や信用事業統合などの組織強化に取り組んできた。1998(平成10)年11月に開催された、兵庫県漁協合併等組織強化推進委員会において、こうした取組を広く紹介し理解を得るために、機関誌「拓水」に組織強化の話題を掲載していくことが決まった。

兵庫県の漁協合併は、1981(昭和56)年を最後に17年間実現しなかったが、全漁連においては、今後広域的な漁協への再編に取り組むこととし、10年後には1県1漁協あるいは1県複数漁協にする基本構想が取りまとめられた。これを受けて兵庫県においても県の「兵庫県漁協経営強化基本方針」ならびに県漁連の「兵庫県漁協合併の促進に関する基本計画」で、10年後に県内10漁協とする組織改革案を策定した。信用事業統合については、1995(平成7)年に信漁連が「兵庫県漁協信用事業組織強化方策」を策定し、1県1信用事業統合体に向けた取組を行った。その結果、1997(平成9)年の明石浦漁協を皮切りに、これまで17漁協と1加工協が信用事業の譲渡を終えた。さらに、系統組織の改革については、統合や一部の県ですでに実施されている役員の共通化、系統職員の人事交流といった改革を進め、組織の存在意義を明確にし、活性化を図ることが重要であると指摘している。

2000(平成12)年7月、神戸市内で第15回組合長懇談会が開催された。テーマは「共通役員制等を考える」で、護送船団方式の経営が崩壊した後の企業経営の変革や取組に関する講演の後、「共通役員制等を討論する」をテーマにパネルディスカッションが行われた。この中で、系統の共通役員制や職員の交流等をはじめとした系統の活性化計画を検討する「系統組織活性化委員会」を設置したことが紹介された(拓水526号)。

組合長懇談会
▲組合長懇談会

2001(平成13)年3月、県漁連・信漁連・共済組合の3団体の合同臨時総会が開催され、3団体の共通役員制の導入が決まり、同年6月の通常総会で共通役員制がスタートすることになった。共通役員制の枠組みは、3団体が委嘱した7名の組合長による「兵庫県漁協系統団体活性化委員会」から提出された提言が基になった。3団体は同委員会に対し、あらかじめ「系統団体全体のあり方を視野に入れながら、当面は3団体を対象とした活性化方策について提言されたい」と申し入れていた。今回の3団体の共通役員制の提言は、活性化方策の第一弾と位置付けられ、今後は系統12団体間の垣根を越えて課題に取り組む必要がある、との共通認識のもと、共通役員制への合流や人材交流促進策など、第2弾、第3弾の提言が行われる、と結ばれている(拓水534号)。

2001(平成13)年4月発行の拓水534号には、3団体の共通役員制導入の経過と背景、組織体制、今後の課題などの詳細が紹介された。

2001(平成13)年6月、県漁連・信漁連・共済組合の3団体の合同通常総会が開催され、3団体の役員改選が行われ共通役員制がスタートした。役員体制は、理事は共通理事7名と各団体の専任常勤理事、監事は共通監事2名と信漁連単独監事1名、県漁連・共済組合2団体共通監事1名となった。2001(平成13)年7月発行の拓水537号には役員名簿が掲載された(拓水537号)。

2002(平成14)年4月、JF兵庫漁連事務所内に「JFグループひょうご企画調整室」が開設された。同調整室は県漁連・信漁連・共済組合からの出向者によって構成され、JFグループ全体の総合窓口として、情報の収集・伝達・発信を行うほか、3団体の共通役員と直結して、組織強化の推進、グループ全体のビジョンづくりなどに取り組むことになった(拓水546号)。

2009(平成21)年10月、JF兵庫漁連・JF兵庫信漁連・JFぎょさい兵庫の3団体主催による「兵庫県漁業協同組合長会議」が開催され、議事として「3団体の共通役員制について」が協議された。3団体の共通役員制は、2001(平成13)年度から継続された制度であるが、3団体の運営が共通役員7名と専任常勤理事で行われていることに対し、会員漁協からは「3団体の経営に参画できるよう、役員定数を増やしてほしい」との要望があがっていた。そこで3団体は「共通役員制諮問委員会」を設置して対応策を諮問し、同委員会から提出された提言書に基づいて、組合長会議に諮ることを決めた。提言書の内容は、共通役員の一部を単独役員にして、各団体の役員定数を変えることなく、全体の役員数を増やすものであった。組合長会議で協議した結果、提言書の内容に基づき、制度を変更することが確認された(拓水637号)。

共通役員制度変更 組合長会議
▲共通役員制度変更 組合長会議

2020(令和2)年12月、JF兵庫漁連の通常総会が開催された。この総会に先立つ「兵庫県JF組合長会議」において、3団体の共通役員制の廃止案が審議され、原案どおり承認された。共通役員制は、2021(令和3年)12月をもって廃止されることになった(拓水771号)。

2021(令和3)年12月、JF兵庫漁連の通常総会が開催された。役員改選が行われ、販売担当理事5名・販売担当常勤理事1名を含む、理事16名・監事4名による新体制が発足した。これによって、3団体の共通役員制は廃止(※1)された(拓水783号)。

 

(※1)拓水には記載されていないが、3団体の共通役員制廃止の主たる理由は次のとおりであった。すなわち、JF兵庫信漁連は、トピック(39)に記すように、2017(平成29)年4月にJF和歌山信漁連と合併してJFマリンバンクなぎさを設立した。同なぎさ信漁連は、引き続き2021(令和3)年4月の広域合併をめざした協議を進め、役員数の削減が計画されたことから、共通役員制の継続が困難となったのである。

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