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(36)県漁連施設整備

1985(昭和60)年5月、兵庫県漁連の通常総会が開催された。前年度は、洲本市に淡路支所を新設し指導体制の充実を図ったが、今年度は姫路市に播磨支所を新設し、地域に密着した指導事業を推進することが決定した(拓水345号)。

1985(昭和60)年9月発行の拓水348号に、兵庫県漁連と兵庫県水産業改良普及協会が兵庫県の協力のもと、明石市二見町南二見で建設を進める「のり研究所」の概要が発表された。それによると、兵庫県のノリ養殖漁業は浮流し式技術の導入と県・県水試の指導、漁業者の努力によって、全国で1~2位の生産県となった、とある。しかしながら、漁場環境の変化や大型機械の導入、張込枚数の増加による多収穫生産方式の先行等によって、経営は厳しかった。そのためノリ養殖漁業をいかに安定させるかが重要課題となり、のり研究所の設置が決まったという。工事は1985年9月に着工して翌年2月に完成予定で、研究所の活動開始は1986(昭和61)年度となる見込みであった。スタッフは当初7名程度で、県ならびに県漁連の研究員が配置される予定であった。研究所内には、漁場環境の変化に対応するための化学実験室、フリー糸状体培養や品種改良のための生物実験室などを備え、漁業者自身が研究できる施設も用意する計画であった。

県漁連が建造を進めてきた漁場環境調査船「拓水」が、1988(昭和63)年12月末に完成した。この船は国の全県地域沿岸漁業構造改善事業の指定を受け、ノリ養殖漁業を中心に、漁場環境調査、生産指導業務に取り組むほか、夏場は赤潮対策や流出油事故対策に従事することを目的に建造された。

2000(平成12)年7月発行の拓水525号に、「兵庫県漁連からのお知らせ」がある。それによると、県漁連は指導事業体制の見直しを基本とした機構改革を実施し、2000年7月1日をもって播磨支所指導課及び淡路支所指導課を本所指導部に統合した。

県漁連は、1992(平成4)年から取り組んできたマダコ・イカナゴなどの水産加工事業を本格化し、これまで取り組めなかったアジ・シタ・シズ・イカ等の多獲性魚種も幅広く加工できるよう、姫路市白浜町の妻鹿漁港に新水産加工センターを建設していることを発表した。マイナス196℃の液化窒素凍結機を備え、ボイル、蒸し、つくだ煮、唐揚げ、フライの粉付け等の加工に対応する。竣工は2001(平成13)年2月の予定とした(拓水529号)。

2001(平成13)年4月、「兵庫県漁連水産加工センター」の竣工祭が開催され、施設が関係者に披露された。竣工祝賀会では、JF兵庫漁連会長が「新しい水産加工場を、魚食文化を消費者に伝え、消費者ニーズを産地に伝える「お魚情報の受発信基地」にしたい」と述べた(拓水535号)。

建設中の新水産加工センター
▲建設中の新水産加工センター

2007(平成19)年2月発行の拓水604号に、JF兵庫漁連が1977(昭和52)年から取り組んだ、活魚・鮮魚・塩干品の販売事業と、1992(平成4)年から取り組んだ、加工事業の経過が報告された。それによると、1977年に活魚・鮮魚・塩干品の販売を開始した当初は、施設も販路もない状態であったが、関係JFと連携し徐々に体制を確立した、とある。特にイカナゴについては、養殖魚の餌料としての取り扱いから始めたが、1985(昭和60)年頃から、灘神戸生協(現コープこうべ)の店舗向けに、くぎ煮の原料としての鮮魚販売(生売り)を始めた。イカナゴの生売りは、JF女性部やJF兵庫漁連指導部との連携による「くぎ煮教室」を各地で開催したことで、兵庫県内はもとより、東は大阪・京都・奈良、西は岡山まで広がった。加工事業については、1992年にのり流通センターの一角でタコ、タチウオの一次加工を始め、1994(平成6)年にはJF播磨町の施設を借用して加工場としての整備充実を図り、「塩もみダコの真空パック」を漁連ブランドとして開発した。1995(平成7)年には第2工場を整備、2001(平成13)年に姫路市白浜町に前述の水産加工センターを建設した。

2008(平成20)年10月、明石市中崎において、兵庫県水産系統団体の新たな拠点となる新水産会館の起工式が行われた。神戸市兵庫区中之島の兵庫県立水産会館は、1995(平成7)年1月の阪神・淡路大震災で被災し、震度5以上の地震で倒壊の恐れがあったため、新会館の建設が求められていた。新しい会館は、鉄骨造4階建(一部5階)、延床面積3,033㎡で、完成予定は2009(平成21)年6月であった(拓水625号)。

2009(平成21)年7月21日、完成した新水産会館に各系統団体が移転した(拓水633号)。

2018(平成30)年2月、JF兵庫漁連が姫路市白浜町の妻鹿漁港に建設を進めてきた「のり加工センター」が完成し、関係者に施設が披露された(拓水736号)。

のり加工センター完成
▲のり加工センター完成

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