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(28)漁協合併(平成の漁協合併)

1992(平成4)年2月、兵庫県漁協合併推進協議会が県立水産会館にて開催され、今後の漁協合併を推進する上での指針となる「兵庫県漁業協同組合合併推進基本構想」を策定した。協議会では、先に小委員会で検討を重ねてきた「基本構想(案)」について真剣な討議が行われた。その結果、原案が承認され、1992年度以降はこの基本構想に基づいて、第1段階として「1市町1漁協」を目標に漁協合併を推進することが決まった。第2段階は、正組合員数300名以上・出資金1億円以上・職員数16名以上(常勤理事1名以上を含む)・貯金残高25億円以上・販売年間取扱高25億円以上・購買年間取扱高3億5千万円以上の組織および事業規模を目標に、これに応じた漁協合併を目指すこととした。当基本構想に基づく合併推進期間は、1992(平成4)年~1999(平成11)年の8年間であった(拓水425号)。

県水産課と県漁連は、2000(平成12)年12月に摂播地区・淡路地区、2001(平成13)年2月には但馬地区において、「漁協組織10年後構想と合併意見交換会」を共催した。「漁協組織10年後構想」が、1998(平成10)年度に策定した「兵庫県漁協合併の促進に関する基本計画」に基づいて説明され、将来的には「自立10漁協」を目指すこととした。参加者は、組合長・理事・監事ならびに幹部職員らのべ240名余りにのぼり、意見交換会では「組合員不在で協議されている」「漁業活性化のための予算措置はあるのか」などの意見が出た。国の新たな制度として「認定漁協」制度が2001(平成13)年度から、開始予定であった。ついては、全ての漁協が公益的な役割を担える「認定漁協」になれるように、合併計画の見直し・強化が求められた。なお、兵庫県の漁協合併は、1981(昭和56)年の淡路町漁協設立以降、2001(平成13)年2月までの約20年間実現しなかった(拓水533号)。

2002(平成14)年1月、県水産課が「認定漁協」の認定基準を定めた「漁協の組織・事業基盤の強化に関する基本方針」を発表した。これは、国が漁協に対して、漁業・漁村における中核的な組織として、資源管理や担い手育成等の新たな課題への適切な対応を求め、一定の組織・事業基盤を備えた「認定漁協」制度を導入したことに応えたものである。「認定漁協」には国の補助事業が優先的に採択される見込みで、「認定漁協」のみを対象にした事業も実施される予定であった。

兵庫県が示した認定基準に基づき、明石浦・林崎・坊勢・香住町の4漁協が「組織・事業基盤の強化に関する計画」の認定申請を行った。県は2002年3月付でこれらを認定して、兵庫県初の「認定漁協」が誕生した(拓水546号)。

2002(平成14)年3月、姫路市内の妻鹿・阿成・広畑の3漁協が合併仮契約を締結した。各JFは同月内に臨時総会を開催して合併案を承認し、2002(平成14)年6月1日に「JF姫路市中部」が誕生することが決まった。新組合は、正組合員66名・准組合員30名となる見込みであった(拓水546号)。

合併仮契約調印式:JF姫路市中部(現JF姫路市中部支所)
▲合併仮契約調印式:JF姫路市中部(現JF姫路市中部支所)

2002(平成14)年10月、但馬漁業センター会議室において、但馬地区漁業協同組合合併研究会が発足した。同月には系統の組織強化推進機関であるJF組織強化委員会が但馬地区を重点地区として支援することを決めた。研究会では、各漁協の参事、県、系統団体担当者で構成する作業部会を組織して、本部会が各JFの現状調査、合併後のメリット・デメリット等を検討し、基本的な合併の素案をまとめ、あらためて研究会に諮ることを決めた(拓水554号)。

2002(平成14)年12月、赤穂市内の3JF(坂越・赤穂・福浦)による合併仮契約書調印式が行われ、各JFの総会承認を経て2003(平成15)年4月1日「赤穂市漁業協同組合」が誕生することになった。赤穂市内の3JFは、将来への危機感から経営基盤の強化と漁家経営の安定を図るために、2001(平成13)年9月に合併研究会を設置、2002(平成14)年1月からは合併推進協議会に組織を変更して7回にわたる協議の末「合併構想(案)」を策定し、各JFの組合員集会において本案の了承を得た。新組合は、組合員数138名・販売取扱高約10億円となる見込みであった(拓水555号)。

2004(平成16)年10月、明石市内においてJF東明石浦とJF明石浦の合併仮契約調印式が行われた。その後開催される各漁協の総会承認を経て、2005(平成17)年1月の合併を目指すことになった。JF東明石浦では2004年6月から正組合員の減少に伴う組織のあり方を協議、同年7月の理事会で合併を目指す方針が確認された。その後、県・市・系統団体の支援のもと、JF明石浦との合併協議が行われ、仮契約調印に至った(拓水577号)。

2005(平成17)年9月、JF兵庫漁連内に設置された「JF組織強化委員会」が約1年の歳月をかけて策定した「JFグループ兵庫組織強化構想」が示された。この構想は、同月開催のJF兵庫漁連理事会、10月の兵庫県漁業協同組合長会議で承認され、「漁業者の幸せの実現」を目指してオール水産(全ての系統団体と全てのJF)でこれに取り組むことが確認された。構想のポイントは、漁業者への最大の経済的メリットを提供できる組織として、全ての系統団体と全てのJFによる新しい経済事業体「経済事業改革JF」の設立を理想の姿としたことにあった。漁協合併促進法の期限となる2008(平成20)年3月までの設立を目指すことになった(拓水591号)。

2006(平成18)年2月、明石市内においてJF江井ヶ島とJF魚住の合併仮契約調印式が行われた。両漁協は組合員の高齢化が進む中、合併によって組織強化を図るしかないと判断したのである(拓水593号)。

2006(平成18)年4月、県立水産会館において「JFグループ兵庫・経済事業改革JF設立推進委員会」が開催された。出席者は、県内全JF組合長、系統団体、県、市町、農林中金等の県下水産関係者約100名であった。

経済事業改革JF設立推進委員会
▲経済事業改革JF設立推進委員会

委員会の議事は、①委員会設置要領の承認について、②副委員長の承認について、③推進スケジュールについて、④委員会アピールの採択について、の4議案で、いずれも原案どおり承認・採択された。

また、後日、JF職員及び系統団体職員を対象に「JFグループ兵庫組織強化構想に係る説明会」が開催され、JF・各系統団体に対して、各種会議への参画・資料提供等の協力が要請された(拓水595号)。

2006(平成18)年7月発行の拓水597号の「推進室より」で、経済事業改革JFの具体的な計画策定「青写真づくり」が始まったことを受け、分野別検討部会委員(JF組合長と県職員)が選任されたことと事業別検討チームが設置されたことが報告された。各検討チームはJFに対して「JF基本調査」を開始した(拓水597号)。

2006(平成18)年8月、第21回組合長懇談会が洲本市で開催された。懇談会では、経済事業改革JF設立の目的を説明するため、JFグループ職員による寸劇「JF合併は誰のため」が上演され、参加組合長からはわかりやすい内容であったと評価された。その後、組織検討部会の委員による、公開協議を開催し、設立に関する概要が説明され、参加組合長らと意見交換がなされた。(拓水598号)。

2006(平成18)年7月、但馬地区の5漁協(津居山港・竹野浜・柴山港・香住町・浜坂町)が香住町内で合併仮契約調印式を開催した。今後各漁協の総会を経て2007(平成19)年4月の新漁協「但馬漁業協同組合」設立を目指すことになった。合併後の組合員数は約2,400人、販売取扱高は約91億円となる見込みであった(拓水598号)。

2006(平成18)年9月、淡路市においてJF仮屋・JF釜口・JF浦の合併仮契約調印式が開催された。3JFは、組織強化によって足腰の強い組合づくりを目指し、合併を決意した。今後は各組合の総会議決を経て、2007(平成19)年1月の合併を目指すことになった(拓水600号)。

2006(平成18)年10月発行の拓水600号に、JFグループ兵庫・経済事業改革JF設立推進委員会における「JFグループ兵庫組織強化構想」の進捗状況が報告された。それによると、同委員会の設立は2006年4月で同年10月には計画の方向性が示せるよう協議が進められた。合併JFの基礎を協議している組織検討部会は、すでに方向性を示せる段階にあった。購買事業検討部会では、合併後の事業の在り方の取りまとめが終わった。販売事業検討部会では、鮮魚販売・直売・加工事業の方向性がまとまり、今後はのり販売・カキ養殖事業について協議が行われる。指導・系統事業検討部会では、すでに取りまとめが終わっていた。今後、各部会の取りまとめが終わった段階で、第2回委員会を開催して方向性を決定のうえ、具体的な計画策定作業が始まる、と結ばれている。

2006(平成18)年11月、淡路市役所において、JF塩田・JF志筑浦・JF生穂・JF佐野の4JFが合併仮契約を行った。4JFは、高齢化や後継者不足、魚価低迷、漁獲量減少、燃料費の高騰など、漁業を取り巻く環境が年々厳しくなる中で、安定した組合運営を行うために、合併を決意したという。2007(平成19)年4月に「JF津名」の設立を目指した(拓水602号)。

漁協合併:JF但馬
▲漁協合併:JF但馬

2007年(平成19)年2月発行の拓水604号の「設立推進室だより」で、2006年1月に決定した「JFひょうご(仮称)」の概要」(改革の方向性)について、各JFで説明会を開催していることが報告された。また、説明会の内容の一部、①「経済事業改革JF」の構想が誕生した背景、②今後のスケジュール、の2項目が掲載された。

2007(平成19)年4月、淡路地区で塩田・志筑浦・生穂・佐野の4JFが合併してJF津名が誕生し、但馬地区では津居山港・竹野浜・柴山港・香住町の4JFが合併してJF但馬が誕生した(拓水606号)。

2007(平成19)年4月、県立水産会館において「第3回JFグループ兵庫・経済事業改革JF設立推進委員会」が開催された。委員長(県漁連会長)をはじめ県下JF組合長、行政担当者ら102名が出席した。会議では「経済事業改革JF」の青写真について協議が行われ、原案どおり決定した。今後の推進活動についての参考意見を聞くために、正組合員数200名以上の大規模JFの組合長による意見交換会(※1)を開催することも決定した(拓水607号)。

2007(平成19)年12月、JF丸山の会議室において、JF丸山・JF阿那賀の合併仮契約調印式が開催された。両JFは、漁獲量の減少や魚価の低迷、燃油の高騰など、漁業を取り巻く環境が厳しさを増している状況をふまえ、組合員の生活向上や、JFの経営基盤強化を図るために、合併を決意した。今後は両JFでの総会議決を経て、2008(平成20)年4月の合併(JF南あわじ)を目指すことになった(拓水615号)。

2009(平成21)年2月、たつの市内でJF岩見とJF苅屋の合併仮契約調印式が開催された。この後、両JFの総会承認を経て、同年4月の合併を目指すことになった(拓水628号)。

2009(平成21)年5月、加古川市内でJF別府町・JF尾上の2JFが合併仮契約調印を行った。今後、各JFの総会議決を経て同年8月に「JF東播磨」の設立を目指すことになった(拓水631号)。

2009(平成21)年8月発行の拓水634号に、姫路地区の8JFの合併仮契約調印式の模様が紹介された。姫路地区合併推進協議会会長は「60年の歴史の中で先人が築いた基盤があってこの度の調印に至った。組織基盤の強化、経営効率の向上を目指し団結して、歴史に負けない新しい組合の第一歩を踏み出したい」と抱負を述べた。2010(平成22)年1月の合併を目指した。

2010(平成22)年1月、JF姫路市が誕生した。漁獲量の減少、組合員の高齢化等、組合の経営環境が厳しくなる中、8JFは組合員の負託に応える組織づくりを目指し、12回におよぶ協議の結果、今回の合併を決めた。合併後の組合員数は351名(正組合員228名、准組合員123名)となった(拓水640号)。

2012(平成24)年1月、高砂市内においてJF伊保とJF曽根町の合併仮契約調印式が行われた。両組合は同年3月中に総会を開催し、合併承認を得たうえで、同年7月の新生JF伊保の誕生を目指すことになった(拓水664号)。

2012(平成24)年7月、新しいJF伊保が誕生した。合併後の組合員数は87名(正組合員80名、准組合員7名)となり、旧JF曽根町は支所となった(拓水669号)。

2012年(平成24)年11月発行の拓水673号に、JF由良町中央とJF由良の合併仮契約調印式が掲載された。それによると、同年10月、洲本市内において、両JFの組合長・役職員ら30名が出席し、洲本市長、JF兵庫漁連会長が立ち会う中、合併仮契約書への署名が行われた(拓水673号)。

2013(平成25)年1月、JF由良町が誕生した。漁獲量の減少、漁業者の高齢化等、組合経営を取り巻く環境が厳しくなる中で、組合員の負託に応えるために協議を続け、合併を成し遂げた。新しいJF由良町は組合員数327名(正組合員305名、准組合員22名)で、事務所は旧JF由良町中央に置いた(拓水675号)。

2013(平成25)年3月、高砂市内においてJF高砂とJF荒井の合併仮契約調印式が開催された。両組合は、漁業を取り巻く厳しい環境への対応策として、合併による経営基盤の強化を図ろうと、協議を重ねてきた(拓水677号)。

2013(平成25)年6月、新生JF高砂が誕生した。合併後の組合員数は73名(正組合員57名、准組合員16名)で、旧JF荒井は支所となった。今回の合併で県下のJF数は39となった(拓水680号)。

2013(平成25)年11月発行の拓水685号で、JF洲本とJF炬口たけのくちの合併仮契約調印式の模様が紹介された。それによると、同年11月洲本市内において、両JF組合長、両JFの役職員、県、市、系統職員ら約30名が出席し、洲本市長・JF兵庫漁連会長立会のもと、合併仮契約書が調印された。

2014(平成26)年1月、JF洲本炬口が誕生した。合併後の組合員数は68名(正組合員45名、准組合員23名)となり、事務所は旧JF炬口に置いた。今回の合併で兵庫県下のJF数は38(※2)となった(拓水687号)。

 

(※1)大規模JFによる意見交換会の結果は拓水には掲載されていないが、合併に参加しないという漁協が過半数を占めた。そのため、後に開催された、JFグループ兵庫・経済事業改革JF設立推進委員会において、青写真に基づく合併協議は、2017(平成29)年まで10年間休止することが決まった。

(※2)拓水では紹介されなかったが、2013年(平成25)年1月のJF由良町誕生にあわせて、JF由良町漁連が事業と持分を同JFに譲渡して解散した。その後、2014(平成26)年5月にJF東由良町が解散して、県下のJF数は37となった。

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